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 第38回日本青年期精神療法学会を開催させていただく、山形県立こころの医療センターの神田秀人と申します。新型コロナ流行のため一年延期しての開催ですが、感染終息の願い叶わず、やむなく全面ウェブでの開催といたしました。鶴岡市にお越しいただきたかったのに、とても残念です。月山、鳥海山といった名峰に囲まれた庄内平野の鶴岡市は、ユネスコの世界食文化都市に認定されておりますし、出羽三山信仰などの歴史的精神文化に富んだ場所です。コロナ終息の際には是非お越しいただければと思います。

 今回のテーマは「今、愛着を問い直す」といたしました。このテーマとした理由をお話するため、少し自己紹介をさせていただきたいと思います。私が、こころの医療センターに赴任して約10年になりますが、それ以前の7年間を山形県中央児童相談所の所長兼常勤精神科医として勤務しておりました。被虐待児の医学診断や治療的介入を模索するような日々だったわけですが、その中で精神障害を持つ親は、加虐待の大きなリスクファクターであるが、患者様の子育て能力などを配慮している精神科医が非常に少ないことを実感させられました。また、発達障害などの子どもの障害も被虐待の大きなリスクファクターであり、職権にて一時保護した子どもたちは、愛着と発達の問題が絡んだ扱いの難しい状態であることが多いことも実感させられました。また、切実な問題として被虐待児を親から分離して児童養護施設などに処遇するだけでは、親がまた出産したり、別のパートナーと新しく所帯を持つなど、危機的状況が継続してしまうこと。さらに、分離された子どもたちも、自分が何のために我慢したり頑張ったりすればよいのか分からず、成長促進的に関わることが難しくなることなども実感しておりました。

 それ故、児童思春期外来と病棟を新設し、庄内児童相談所も近接している山形県立こころの医療センターでは、虐待事例として紹介されてくる家族に対し、障害を持つ親も子も当センター一か所で対応できるような体制を目指しました。もちろん、リスクが高い家族が多くすぐに家族再統合など困難な場合が多いのですが、親も子も同じ主治医である(あるいは同じチームである)場合、両者の納得のいく形で、かつ安全性も担保した形での再統合に向けた働きかけがし易くなると考えております。そのような親と子の絆を重視する臨床を行っておりますので、今回のテーマとさせていただいた訳です。

 ここ一年ほど継続している私のマイブームは、朝のウオーキングとネットフリックスで「赤ちゃんを科学する」を見ることです。だいぶ体も締まり、毎朝番組の赤ちゃんから元気をもらって職場に行きます。特別講演の東京大学教授、遠藤利彦先生は日本の愛着研究の第一人者であり、私たちの臨床活動に大きな示唆を与えてくださるものと期待しております。また、シンポジストに当学会の会長である笠原麻里先生を迎え、愛着障害の診断についてのお話を、大高クリニックの大高一則先生を迎え思春期臨床の立場から愛着についてのお話をいただく予定です。

 ふるってのご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

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